藤井利子 小森敏作品の再現にあたり
DAiJ2014 小森 敏「タンゴ」(6/6,7,8)
小森敏作品「タンゴ」を担当させて頂きました藤井利子です。小森敏晩年の弟子でございました。新国立劇場主催ダンス・アーカイヴ in JAPANは、素晴らしい企画で、貴重な体験をさせて頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。そして「日本の現代舞踊のパイオニア」出版も、後世へ残す貴重なプレゼントなので、私も大切に保存致し度く思っております。
円熟期をフランスで活動していた小森敏を知る人は少ないと思われますので、参加させて頂いた事が、私にとっては、此の上無い有難い機会でございました。日本の美と西洋の美を、自然に融合させた独自の小森敏のダンスは、小森敏のみ可能なソロダンスのブランドでしたが、私共弟子は、ダンス育成の練習曲(かつて小森が踊っていた作品も含まれていた)を踊りながら、先生のダンスの片鱗を感じとり、今も大事に学ばせて頂いております。
小森敏作品「タンゴ」の出演ダンサー柳下規夫氏には、方向・ステップ・間の骨格のみを伝え、内包するイメージによる表現は、一切お任せして、型にとらわれず自由に踊って下さる様お願いしました。
3日間の舞台終演後、初めて、どんなテーマで踊ったのかを聞きました。「3回の舞台を、日毎に人生の異ったイメージのタンゴを踊らせてもらいました」との事。最終日は、「人生終(つい)のタンゴ」つまり人生最後の舞台、舞台人生の大団円をイメージしたとの事です。たった3分の曲の中に、多くのステップが入った振付なので、強靭さと繊細な感性の動きが必要だったと思います。そして小森敏ダンスの特質でもある品格を貫いて下さり、感謝!感謝!です。小森敏も、各国巡演公演等では、舞台を踏む度、新たなイメージで練り直し、洗練されたダンスへと達成させて行ったと思われますので、私には、小森敏と柳下規夫のダンスが重なって感じられ、胸を熱くいたしました。そして敏先生と藤井公の満面の笑顔を見た気がいたしました。
公演にかかわって下さいました方々に、厚く御礼を申し上げます。
- 日時
- 2014年6月6日(金) 開演19:00
2014年6月7日(土) 開演15:00
2014年6月8日(日) 開演15:00 - 会場
- 新国立劇場 中劇場
- チケット
- A席 5,400円 B席 3,240円
- 主催
- 新国立劇場
- 出演者
- 柳下規夫(6/6,7,8)
DAiJ2014 小森 敏「タンゴ」
作品責任者:藤井利子
小森敏作品の復元について