第21回(令和4年-令和5年)河上鈴子スペイン舞踊賞 受賞者のお知らせ

2024.07.23

2年に1度選出される最高峰のスペイン舞踊賞として、わが国におけるスペイン舞踊の先駆者である故河上鈴子の功績を記念し昭和63年(1988年)に制定。日本国内で発表されたスペイン舞踊及びフラメンコ舞踊の分野で、特に優れた業績をあげた個人または団体を対象として、過去の実績を加味し、舞踊家、舞踊評論家、学識経験者等からなる委員会により選考されました。

大沼由紀

 

【受賞の言葉】
この度は第21回河上鈴子スペイン舞踊賞をという名誉ある賞を賜り、身に余る光栄です。思いもかけぬ受賞に驚くとともに、授賞理由に胸が熱くなりました。
それまでに出会った音楽、演劇、舞踏を一度封印し、フラメンコだけを見つめて邁進してきました。しかしここ数年、封印したはずのものたちが何故かフラメンコを通して湧き上がり、私の声を、身体を動かしたのです。
その衝動を素直に表現方法として取り込んだこの作品は、当然フラメンコ舞踊家としての既存のスタイルとは違うものになりましたが、そんな私の挑戦に対し、それでいい、迷わず進んで行けと後押ししていただいたように思います。ありがとうございました。

 

<第21回江口隆哉賞選考委員>
一般社団法人日本フラメンコ協会
同相談役 山田恵子  同名誉会長 小島章司  同会長 小林伴子

一般社団法人現代舞踊協会
同理事長 野坂公夫
同常務理事 井上恵美子 杉原ともじ 田中いづみ

一般社団法人現代舞踊協会 第21回(令和4年-令和5年)河上鈴子スペイン舞踊賞 大沼由紀


舞台写真/大沼由紀「音の旅人 2」 撮影:川島浩之

受賞理由
フラメンコの原点へと奥深く探る内なる衝動を、自らの歌と踊りにより力強く表現し、「地の底から湧き上がり空高く舞い上がるフラメンコ」の旅を独自の世界に展開した。
その手法は、音楽、演劇、文学、舞踏をフラメンコと関連させ、自分の中へと自在に取り込み、永い年月をかけて融合させたフラメンコの論理を舞踊言語へと置き換えていくという独自のもので、常に高い視点で舞台芸術創造を目指している活動を評価して。
略歴
福島県会津若松市出身。日本大学藝術学部音楽学科卒業。
山川三太氏率いる銀テント「究竟頂」を経て、アスベスト館にて暗黒舞踏創始者、土方巽氏に師事。その後フラメンコに出会い、佐藤佑子氏に師事。1992年渡西し、マドリッド、セビージャ、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラの各地で研鑽を積み、1994年帰国。1996年日本フラメンコ協会第5回新人公演にて努力賞受賞。1999年東京・中野にエストゥディオブレーニャ設立。その後も渡西を重ね、マリア・デル・マル・モレノ、ぺぺ・トーレス等に師事。2016年大沼由紀舞踊公演「“Espontánea IV” ~フラメンコ、自然発生的な~」で文化庁芸術祭舞踊部門新人賞受賞。2017年ヘレスのLA GUARIDA DEL ÁNGELにて「VIヘレス・オフ・フェスティバル」ソロ公演。2022年「音の旅人2 ~ one step in 福岡」で「公文協アートキャラバン事業 劇場へ行こう2」に参加。現在、自身のスタジオと博多にて教授活動にも力を注いでいる。