第41回(令和5年) 江口隆哉賞 授賞者のお知らせ

2024.07.23

第41回江口隆哉賞授賞者が 小島章司氏に決定しましたのでお知らせいたします。

小島章司

撮影:ana palma

 

《受賞の言葉》
この度は私の2023年度の舞台作品『美は涙の海から』をご高評下さり、さらに栄えある現代舞踊における我が国最高峰の賞、江口隆哉賞にお選び下さいまして誠にありがとうございます。心より深く感謝申し上げます。近年外国での公演が多く、またコロナ禍の後しばらく振りの日本での創作活動に胸が高鳴り、スペインより招聘した“今は盛り”のミュージシャンたちとの至福の時を重ねて作りあげた作品でした。音楽も舞踊も文学も演劇も絵画も芸術と言う名の全てより沢山のインスピレーションを受け生きて来ました。フラメンコの道も険しく奥深いものではありますが、精一杯を尽くして踊って行く覚悟をお伝えして受賞への御礼の言葉といたします。長年創造に立ち会って下さいました共演者やスタッフの皆様にも御礼申し上げます。

 

※江口隆哉賞
わが国における現代舞踊の振興と協会の繁栄に尽力した故江口隆哉元会長の功績を記念して、1983年に制定されたもっとも権威ある現代舞踊賞です。毎年1月1日~12月31日までの期間、優れた現代舞踊作品を創作発表した作者に対し、過去の実績を加味し授与しています。

第41回江口隆哉賞選考委員
舞踊評論家/池野 惠、立木燁子
一般社団法人現代舞踊協会/同常務理事 加藤みや子、坂本秀子、同理事 馬場ひかり、同理事長 野坂公夫

一般社団法人現代舞踊協会 第41回 江口隆哉賞 小島章司


SHOJI KOJIMA FLAMENCO2023「美は涙の海から」 撮影:大森有起

受賞理由
近年、スペインをはじめ海外公演に集中していた小島章司の久々の国内公演『美は涙の海から』は、フラメンコの奥深さと同時に、その魅力の源泉を余すことなく伝えて印象深い。スペインからギターのチクエロ、カンテのダビ・ラゴスら既知の演奏家を迎え、かつて小島に師事した北原志穂との共演は、バッハの『無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調』の演奏で幕を開け、途中、ガルシア・ロルカの詩の朗誦を挟みながら進行するというユニークな演出で目を惹いた。中でも新進バリトン歌手の上野富紀翁の起用は、声楽家を志した若き日の小島を彷彿とさせ、プログラム全体が、音楽の道から舞踊へと転身した小島の芸術家としての人生の軌跡を辿っている。音楽と舞踊、そして詩への深い共感が織りなす舞台は、真の芸術とは何かを示唆して集大成にふさわしい輝きを放った。
略歴
高校時代音楽の道を志す。音楽大学入学後は舞踊の世界により惹かれるようになる。フラメンコに目覚め、1966年スペインへ。1976年帰国公演を催行するまでの10年間は帰国することなくスペインを拠点に世界中で公演活動をする。帰国後はスタジオ開設。日本及び諸外国で公演を行い、国際的な評価を博している。主な受賞歴:芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、旭日重光章、文化功労者。スペインよりイサベル女王勲章、文民功労勲章エンコミエンダ章。2016年ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市より功労賞及び日本における同市のフラメンコ親善大使に任命される。