第40回(令和4年)江口隆哉賞 授賞者のお知らせ
2023.06.21
第40回江口隆哉賞授賞者が 馬場ひかり氏に決定しましたのでお知らせいたします。
【受賞のことば】
この度は、江口隆哉賞という、身に余る大きな賞をいただきまして、ありがとうございました。
私の師、故・芙二三枝子は、江口隆哉氏のもとで学びましたので、私も、江口隆哉先生の舞踊のDNAをわずかでも引き継いでいる舞踊家の一人として、大変光栄に思い、今改めて、身が引き締まる思いです。
母が私の手を引いて、芙二三枝子舞踊研究所の門を叩いたのは、私が5歳の時でした。内気で不器用な子供でしたが、高校生の頃からしだいに芸術としての舞踊の世界に魅せられ、のめり込んでいったのを覚えています。時には、壁にぶつかり、心が折れそうになりながらも、家族や周りの人たちに支えられ、励まされ、踊りと共に生きてきました。踊る喜びを教えてくれた師に感謝すると共に、私を信じて、一緒に舞台を創ってきた仲間、スタッフ、私を芸術の道に導いてくれたすべての方々に感謝の気持ちで一杯です。
思えば、『化身』で新人デビューして以来、憑依する身体を求め、肉体を超えて異次元の世界にも翔んでいける舞踊に魅了され、創作活動を続けてきました。これからもこの賞に恥じぬよう、精進し、自然界に存在するいのちの美、神秘、宇宙の真理を、感性で受け止め、私独自の舞踊言語で語れる舞踊家であるよう、日々探究していきたいと思います。
コロナ禍の閉塞感のある生活を体験し、今、ますます芸術としての舞踊を尊く感じ、身体表現の素晴らしさを実感しています。アートは人間にとってなくてはならないものです。これからも世界最古の芸術である舞踊が、未来に大きく発展し、人々の生活と共にあり、生活を潤し、豊かにするものであることを願って止みません。
馬場ひかり
※江口隆哉賞
わが国における現代舞踊の振興と協会の繁栄に尽力した故江口隆哉元会長の功績を記念して、1983年に制定されたもっとも権威ある現代舞踊賞です。毎年1月1日~12月31日までの期間、優れた現代舞踊作品を創作発表した作者に対し、過去の実績を加味し授与しています。