藤井公「砂漠のミイラ」(1993初演)
藤井公「砂漠のミイラ」リハーサル風景(於:新国立劇場バレエリハーサル室)
- 日時
- 2018年 11月24日(土)開演14:00
2018年 11月25日(日)開演14:00 - 会場
- 新国立劇場 中劇場
藤井公「砂漠のミイラ」リハーサル風景(於:新国立劇場バレエリハーサル室)
若松美黄「獄舎の演芸」リハーサル風景(於:新国立劇場リハーサル室)
ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018
戦後日本の3人の異才たち
-藤井公・若松美黄・庄司裕-
日本の洋舞100年・第3弾「ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018」は、戦後日本の高度経済成長期に異才を発揮した舞踊家 ―藤井公・若松美黄・庄司裕― (上演プログラム順) にフォーカスします。それぞれに日本の現代舞踊のパイオニア、小森敏、津田信敏、江口隆哉に師事した彼らは、同時代に舞踊家としての絶頂期を迎え、日本のモダンダンス様式を3者3様の作風で構築しました。異才たちの芸術魂が鮮烈に蘇る舞台をお楽しみください!
~白熱するリハーサル風景より!!~
作品責任者の方々に、作品を蘇らせるにあたって出演者とどうコミュニケーションをしながらリハーサルを進められているか、そのご苦労や意義深さ、再発見された事などを寄せていただきました。各方面から注目を集めるこの公演は、チケット完売も間近。これからの方はどうぞお早めに!!
藤井公「砂漠のミイラ」(1993初演)
ハッ!ハッ! 声張り上げて自分の腿をバシッと叩いて気合を入れる。 「流砂」の景の群舞振付は、6月から新国立リハーサル室で開始されました。 岩も山も草木も全く無い四方見渡す限り砂の大地と空しかないタクマラカン砂漠は、常時生と死が隣り合わせで、強靭な体とパワー、精神力がダンスの芯に要求されるので、元気な若い世代ダンサーに多く出演して頂きましたが、全速力の低い体勢での走りや気迫を体得して頂く事から始まりました。「砂漠のミイラ」作品の主役は、砂嵐・らくだ・人間で、 オアシストルファンや、口伝で何千年も伝え継ぐ吟遊詩人の景で、心身を癒す場を挿入しながら、精一杯生き、魂は天へ、肉体は砂の大地へともどって行った人々と、二千年を眠り続け、アスターナ古墳で発掘された時空を超えたロマンそのままの、一対の男女ミイラに光を当て、生命の源を感じて頂ける様に、私とアシスタントが心一つに砂漠を踏み行くつもりで、通し稽古に臨んでいます。 稽古中に、主人が何回もしつこく練習させて「お嬢さん芸は駄目だ」と言った所だなァと思い出が 重なったり、詩人秋谷豊氏が、砂漠で張ったテントの暗黒の中にうずくまり「神を待っていた」と 話された事等が思い返され、私にとっては、亡きお二人を背に感じながら今を生かして頂いて いる時間となっています。アーカイブの此のシリーズが次へと繋がって行けます様、責任の 一片を担える様頑張ります。会員の皆様どうかご声援をお願い申し上げます。(藤井利子)
若松美黄「獄舎の演芸」(1977初演)
まず最初に、若松美黄先生の作品をダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018で御披露させて頂ける運びになりましたことを、(一社)現代舞踊協会ダンス・アーカイヴ in JAPAN 2018(DAiJ)企画運営委員会の先生方、並びに、新国立劇場の関係者、スタッフの皆様に心より厚く御礼申し上げます。若松先生の踊りには独特の世界観、リズム感、独自の‘舞踊学’がありました。大学期まで北海道で暮らしていて、青年期には雪道を下駄で歩いたり走ったりしていたとの事で、異常な強い筋肉の持ち主でした。準備無しで急に一気に飛んだり、しゃがんだり、回ったり、中腰、ひざつき振りが多く、少しでも準備が入ると間が違う、おもしろくないというので、先生のおもしろがる間で踊りをするという事は大変な努力と訓練が必要でした。そして、バレエを正式に学んでからの振り付けは、ふんだんにバレエの形が入って来るものの、それが正式のアチチュードなのか、少しひざが下に落ちたモダン的アチチュードなのかが読み取れず、生徒の身である我々も苦労したものでした。今考えると、クラシックの美しいアチチュードがやりたかったのだろうと思い苦笑してしまいます。パントマイムをふんだんに舞踊に取り入れ、新しい舞踊スタイルをあみ出した若松美黄先生の独特の世界観の有るダンスを、先生と同じくモダンダンスからバレエを学ばれキャリアを積まれた高比良さんが、どの様に演じ踊ってくださるのかを楽しみに、今、稽古に励んでいる日々です。乞うご期待下さいと云ったところです。(小柳出加代子、窪内絹子(記))
庄司裕「八月の庭」(1994初演)
思い返してみますと、24年前の庄司裕先生の作品で、初演は東京新聞主催の毎年恒例の現代舞踊展、次に彩の国さいたま芸術劇場でのこけら落とし公演でした。庄司先生の作品のなかで爆撃を受けたシーンがあるのは、私にとっては初めてで、明暗が見えた作品としてとても印象深い作品でした。アーカイブ公演での再演となって、新しく息を吹き込まれようとしています。庄司先生の作品には、微妙な緩急や間の取り方、独特のニュアンスがあって、今はあまり観られることがない作風であると思われます。この作品に取り組み始めて当時のことを振り返り、流れを見返して、緻密な構成と、振りの斬新さに再感動を味わっています。 さて、この度の出演者達は、若い世代の身体能力が優れているダンサーと言えます。リハーサル初めの頃はダンサー達が、各自の表現方法で踊っていましたので、庄司先生の作風を如何に吸収し、何処まで新しい自分に出会えるか、それが課題と言えました。振りの復元を通して指導していくうちに、希望が見えて来ました。テクニック先行の時代において、レトロと言っていいのか分かりませんが、是非この作品を味わって頂けましたら幸いです。 (中井惠子)
庄司裕「八月の庭」リハーサル風景(於:新国立劇場バレエリハーサル室)